「氷上でも履けるオールシーズンタイヤ」として注目されているダンロップの次世代オールシーズンタイヤ シンクロウェザー。
今回、メーカー主催の試乗会に参加し、氷上テストを体験しただけでなく、開発チームの方に直接質問し、貴重な裏話も伺うことができました。
結論から言うと、シンクロウェザーは従来の「中途半端なオールシーズンタイヤ」とは一線を画し、本格的なスタッドレス性能を備えた信頼のできるタイヤでした。
この記事では、そのリアルな試乗感想と開発者が語ってくれた裏話を、一般ユーザー目線でわかりやすくお伝えします。

次世代タイヤ「シンクロウェザー」を体感!試乗会の概要
今回の試乗会は、シンクロウェザーがなぜ「次世代オールシーズンタイヤ」と呼ばれているのかを実際に体感してもらうために企画されたものです。
会場は地方のスケートリンクで、試乗コースは「乾燥路」とツルツルに凍った「氷上路面」の両方体験できるコースです。(今回は氷上性能がメインのため、ドライ路面でのレビューは割愛します)
テスト車両はすべてカローラツーリングで、タイヤサイズも195/65R15に統一されていました。
今回の試乗に参加した一番の理由は、やはり噂通りの「氷上性能」が本当にあるのか、自分の目と体で確かめるためです。
一般ユーザーが氷上で実際に試せる機会はなかなかありません。だからこそ、この記事を読んでいる皆さんの代わりに体感してきた結果を、できるだけリアルにお伝えしたいと思います。
次の項では、いよいよ試乗レビューをお届けします。
👉 シンクロウェザーの基礎知識については、こちらの記事で詳しく解説しています。

スケートリンクでの氷上テスト
比較タイヤと走行内容
試乗したタイヤ | 特徴 | 試乗順 |
---|---|---|
ウィンターマックス03 | フラッグシップモデル(氷上性能に特化) | 1番目 |
ウィンターマックス02 | スタンダードモデル(価格と性能のバランス) | 2番目 |
シンクロウェザー | 次世代オールシーズンタイヤ | 3番目 |
コースは以下の流れでテストしました。
- スタートから時速20キロまで加速
- パイロン地点でフルブレーキング
- スラローム区間を走行し、スタート地点へ戻る
(各タイヤで2周ずつ)
氷上での試乗で意識したポイント

氷上での走行は、スタッドレスタイヤの性能が最も試される場面です。今回の試乗では、特に以下のポイントに注目しました。
- 発進時のグリップ力
滑りやすい氷上でしっかり路面をつかめるか、前にスムーズに進むかを確認。 - 氷上ブレーキ性能性能
フルブレーキング時にどのくらいの距離で停止できるか。 - コーナリング(カーブでの安定感)
横滑りせず、ハンドル操作に正確に反応するかを意識。
いざレビュー!
ウィンターマックス03(フラッグシップ)
発進時のグリップ力 ★★★★★
氷上ブレーキ性能 ★★★★★
コーナリング ★★★★★
今回の記事の主役はシンクロウェザーなので詳しくは触れませんが、さすがはメーカーのフラッグシップモデル。氷上でも圧倒的なグリップ力と安定感を発揮してくれました。特に豪雪地域で走る方には、自信を持っておすすめできる性能だと感じます。
ウィンターマックス02(スタンダード)
発進時のグリップ:★★★☆☆
03に比べると、発進直後にタイヤが空回りする感覚がありました。雪や氷上で滑るときの「あ、ホイルスピンしてるな」という感覚です。また、20km/hまで速度を上げる際のアクセルワークもシビアで、より繊細なアクセル操作が必要でした。
ブレーキ性能:★★★★☆
フルブレーキから停止までの距離は約13mほどでした。
目測では、03より1m程度長めに感じましたが、体感では大きな差はなく、安心してしっかり止まることができました。
スラローム:★★★★☆
12km/h前後で走行しましたが、危険な挙動はなく安定しています。03ほど路面に吸い付くような密着感はありませんが、通常の走行で不安を感じるレベルではありませんでした。
総評「ここまでツルツルの氷上路面でも十分走行できる性能がある」ことに驚きました。
実際、これほどの路面状況は豪雪地帯やスキー場へ頻繁に通う方でなければ遭遇する事もないと思います。
そう考えると、多くのユーザーには02でも十分と感じました。
シンクロウェザー
発進時のグリップ ★★★☆☆
スタートから20km/hまでの加速では、タイヤの空転はありましたが、02よりもスムーズに感じました。
試乗を重ねて氷上での運転に慣れてきた影響や、プラシーボ効果もあるかもしれません。
それでも、このスムーズさは従来のオールシーズンタイヤでは考えられないレベルで、スタッドレスタイヤと同等の性能を実感できました。
氷上ブレーキ性能 ★★★★☆
正直、雑誌や企業ブログの記事にはどうしてもバイアスがかかっていて、
「少し性能を盛っているんじゃないか」と半信半疑でした。
しかし、実際に試乗してみると驚きの体感がありました。
約20km/hでブレーキポイントに差し掛かり、一気にブレーキを踏み込むと 「ガガガッッ」 とABSが作動。
それでも、夏タイヤで滑って止まれない時のような恐怖感はなく、実際の停止距離は スタッドレスタイヤ「ウィンターマックス02」とほぼ同じ約13m でした。
体感としても、「02」と同じ感覚でしっかり止まれたのです。
あまりの安心感に、思わず助手席のメーカーの方に
「これ、本当にオールシーズンタイヤですか?」
と確認すると、担当者はにやりと笑いながら
「オールシーズンではなく、“次世代オールシーズン”です(笑)」
と返答。その自信に、つい納得してしまう瞬間でした
コーナリング ★★★★☆
フルブレーキでの性能ですっかり信頼感が高まった状態で、スラロームのポイントに到着。
スタート位置に付いて、まずはゆっくりとスタート。1つ目のスラロームは 12km/h で通過しました。
予想通り、全く怖さはなく安定して走行できました。
次に少しスピードを上げて 17km/h くらいで侵入したり、ハンドルを少しラフに切ったりして試してみましたが、横滑りは一切なく、安心してステアリング操作ができました。
一言でまとめるなら 「天晴」 です。
シンクロウェザー開発スタッフに聞いた裏話
試乗の合間、メーカーの開発にかかわった方に直接お話を伺うことができました。印象的だったポイントを整理します。
スタッドレスとしての使用期間
シンクロウェザーも通常のスタッドレスタイヤと同様に、プラットホーム(摩耗限界ライン)までは法律的に「冬用タイヤ」として使用可能です。
ただし、スタッドレスタイヤはゴム硬化の影響で一般的には 溝が残っていても約4年が寿命の目安 とされています。
一方で、シンクロウェザーはアクティブトレッド技術により硬化しにくい特性を持つため、理論的にはプラットホームまでしっかり性能を維持できる可能性があるとのこと。
とはいえ、発売からまだ1年しか経っていないため、実際に「何年もつのか」については今後の実績を見て判断していく必要があると、率直に説明されていました。
深雪性能はスタッドレス以上
実験データによると、深雪走行では一部のスタッドレスタイヤを上回る結果も確認されたそうです。
その理由は、シンクロウェザー独自の V字パターンのトレッドデザイン にあり、雪を効率的にかき出すことで高い駆動力を発揮するためです。
開発者いわく、スタッドレスタイヤは主に「氷上性能」を重視して設計されているため、結果的に深雪性能ではシンクロウェザーが優位に立つケースがあった、とのことでした。

まとめ:
今回の試乗では、シンクロウェザーが「次世代オールシーズン」と呼ばれる理由をしっかりと体感できました。
- 発進時の加速
従来のオールシーズンでは考えられないスムーズさを発揮。スタッドレスに迫るレベルで前に進む安心感がありました。 - フルブレーキ
約20km/hからの急制動でも停止距離はスタッドレス「ウィンターマックス02」と同等の約13m。体感的にも大きな差はなく、想像以上の制動性能に驚かされました。 - スラローム走行
スピードを上げたり、ハンドル操作をあえてラフにしても横滑り感はなく、安定してラインをトレース可能。安心してステアリングを握れる信頼性がありました。
「オールシーズン=氷上は苦手」という常識を大きく覆す性能であり、メーカー担当者が得意気に語った「次世代オールシーズン」という言葉にも納得できました。
シンクロウェザーは「1年通して使える」だけでなく、冬でもしっかり安心できる性能を持ったタイヤです。認知が広がれば一気に普及していく可能性を感じました。
一方で、特定の性能(たとえば氷上特化やスポーツ走行特化)を求める方にとっては最適解ではないかもしれません。だからこそ、「幅広い季節をこれ1本で安心して走りたい」というユーザーにこそ強くおすすめできるタイヤだと思います。
スタッドレスタイヤの交換時期についての記事はこちらをご覧ください。

スタッドレスタイヤの買い替え時期についての記事はこちらをご覧ください。

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